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収益価格とは、その不動産が将来どれくらいお金を稼いでくれるか、という「収益力」に基づいて算出された価格のことです。
「この物件を買うと、運営費を引いたあとのNOI(運営純収益)、さらにそこから大規模修繕費などを調整したNCF(純キャッシュフロー)がこれだけ出る。だから、これくらいの値段が妥当だ」
このように、投資家にとって最も合理的でシビアな視点で決まるのが特徴です。なお、ここで言う利益とは、借金の返済や税金を引く前の「物件そのものの実力」を指します。
不動産の価格を決める方法には、大きく分けて3つのアプローチがあります。
投資用不動産を買う場合、「豪華な建材を使っている(原価法)」ことや「隣の家が高く売れた(比較法)」ことよりも、「自分が買った後にいくら稼げるか」が重要です。そのため、収益還元法で導き出される「収益価格」が最重要指標のひとつとなります。
計算は、まず満室時の家賃であるGPI(総潜在収入)からスタートします。 そこから、空室期間の損失や滞納リスクである「空室等損失・貸倒れ損失」を差し引きます。 こうして残った、現実的に入ってくる収入のことをEGI(実効総収入)と呼びます。 「満室ならいくら」ではなく「現実にはいくら入るか」で計算を始めるのが鉄則です。
EGIから管理費、PMフィー、固定資産税などの運営費用(OPEX)を引いたものが、NOI(運営純収益)です。 ここで重要なのは、NOIには「銀行への返済額」や「減価償却費」、「法人税」などは含まない(まだ引かない)という点です。 NOIとは、借金や税金の影響を受ける前の、「その物件そのものが持つ純粋な稼ぐ力」を表す数字なのです。
エレベーター交換や外壁塗装などの大きな出費をCAPEX(資本的支出)と言います。 NOIからこのCAPEXを差し引き、場合によっては敷金等の運用益を加えた最終的な現金を、NCF(純キャッシュフロー)と呼びます。 計算手法によってNOIとNCFのどちらを使うかは異なりますが、「大規模修繕費を無視してはいけない」という点は共通しています。
1つ目は「直接還元法」です。 これは、ある1期間の「NOI(またはNCF)」を「還元利回り(キャップレート)」で割り算して求めます。 計算式は以下の通りシンプルです。
収益価格 = 年間NOI ÷ 還元利回り
一般的なアパートやマンションの投資判断では、この方法でサッと相場感を掴むのが主流です。 分子にNCFを使う場合は、分母の利回りもNCFベースのものを使う必要がある点に注意しましょう。
ここで使う「還元利回り(キャップレート)」は、個人の「これくらい儲けたい」という希望ではありません。 「このエリアの、この築年数の物件なら、市場ではこれくらいの利回りが要求される」という客観的な相場(市場利回り)のことです。 投資家は、この市場利回りで計算された価格と、実際の売値を比べて「割安か割高か」を判断します。
2つ目は「DCF法(ディスカウント・キャッシュフロー法)」です。 これは、毎年の収支変動や、最終的な売却価格(出口価格)までを予測し、「割引率」を使って現在の価値に直す方法です。 将来の売却価格を出すための「終価還元利回り」なども設定する必要があり複雑ですが、変動リスクを精緻に反映できるため、プロの評価や銀行への説明資料として有効です。
収益価格が出たら、実際の売り出し価格と比較しますが、その際に必ず「感度分析(ストレスチェック)」を行います。 これは、計算の前提条件をわざと悪くして、それでも投資として成り立つかを確認する作業です。
銀行が融資審査をする際は、「担保価値(積算価格)」だけでなく、「DSCR(債務償還余裕率)」という指標を重視します。 これは「NOIがADS(年間元利返済額)の何倍あるか」を示すもので、一般的に1.2〜1.3倍以上が目安とされます。 収益価格が高く出ても、実際の返済に対してギリギリの収益しかなければ、融資は厳しくなります。「稼ぐ力」と「返済額」のバランスを見ることが実務では非常に重要です。
大規模修繕(CAPEX)の扱いは計算精度に直結します。 簡易的な「直接還元法」では、毎年の運営費に修繕費として平準化して混ぜ込むことが多いですが、精密な「DCF法」では、「10年目に1,000万円」のように具体的な支出として年次ごとに計上します。 自分の目的に合わせて、「ざっくり相場を知りたいのか」「厳密に収支を見たいのか」で使い分けるのがポイントです。


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